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店員にテーブル席に案内された。二十名にも満たない小さな宴会の場の壁際はソファシートになっている。すでに懐かしい顔がそろっていた。
志穂は男子を避け、遠慮がちにソファシートとは反対側の一番端に座る。もともと積極的な性格ではない。どちらかというとおとなしめだった志穂は中学のときも男友達はほとんどいなかった。
その後、乾杯となりグラスを合わせた。すると向かい側に座る優菜(ゆうな)に話しかけられた。優菜とは中学一年のときから三年間同じクラスで、仲のいい友達のひとりだった。
「ほーんと全然、変わってないよね。志穂は今なにしてるの?」
「東京の大学を卒業した後、こっちで就職したよ」
会社名を言うと、優菜が「知ってる、知ってる」と食いついてきた。
「うちの会社、志穂の会社の就業システム使ってるよ。あと今度、うちの会社のホームページをリニューアルするんだけど、それも頼むことになってる」
聞けば、優菜の勤める会社は大口の取引先だ。たしかパソコンやプリンターの納品もしていたし、LAN工事も請け負っていたはず。
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