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「これで、わかっただろう。俺の気持ち」
「だけど、さんざん元カノの写真を見せられた後に言われてもピンとこないんだけど」
「じゃあ、どう言えばいい? どう口説けば江波は落ちる?」
「どうって……」
甘い眼差しで見つめられる。
艶(つや)っぽい声がやけに耳の近くで聞こえるなと思ったときは、太一の顔がすでに近くまで迫っていた。
「太一?」
急に空気が変わったように思え、志穂は思わず身がまえた。
写真を指に挟んだまま黙り込む太一の考えを読めないことが余計に志穂の不安を煽(あお)る。
元カノに似ているから昔の思い出でも呼び起こしているのだろうか。
そう考えてみたが、向けられている視線の強さがそうではないと告げていた。
身体の防衛反応が勝手に働く。
すると志穂の動揺を感じ、太一がおもしろがるような面持ちで距離を縮めてくる。
一歩後ずさりすると、また一歩近づいてきた。
揺らぎそうな友達のボーダーラインに志穂は息を呑んだ。
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