4. 強引な彼の策略

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 太一が電話を終えるのを見て、志穂もスマホをしまった。  ふいに手もとを見られるが、とくに突っ込まれることもなく安堵する。 「じゃあ、食べたら帰ろっかな」 「なんで帰るんだよ? 行こうぜ、せっかくチケットあるんだから」 「さっき言ってたアミューズメントパーク?」 「行くよな?」  太一は、行くのは当然というような言い方で、床に落ちているチケットを拾った。  志穂は迷ったが、どうせ断っても強引に言いくるめられるような気がして、あきらめモードで行くことにした。  だけど「いいよ」と言うと、うれしそうな顔をされ、複雑な気持ちになる。  結局この日、解放されたのは夜のこと。  意外にも楽しく、健全な午後を過ごした。
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