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かき氷
人は出会うべくして出会い、出会ったからには別れの時に別れる。
誰の言葉かは知らない。有名な人の言葉なのか、はたまた僕が考えた言葉なのか。
僕はこの言葉が大嫌いだ。
もしこれが本当なら、僕は彼女に出会うべくして出会い、あの最悪な別れはその時だったということになるからだ。
彼女、カナは、僕が唯一本気で好きになった子だった。
僕はあれ以来誰のことも好きになれず、誰の隣にいても楽しくなかった。
人生が急に、味気のないものになった。
まるで、シロップをかけ忘れたかき氷かのように。
運の悪いことに、カナとの出会いも別れも高校の初めのほうだった。
下手したら大学も同じかもしれないという自分の悪運を呪ったものだ。
シロップを買い足せなかった僕の高校生活は
ずっと君の姿を追いかけるような
もう戻れない楽しく甘美な日々を必死でたどるような
そんなものだったのだ
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