彼は光の中から現れた

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「確かに……悪くない」 「でしょ? 私頑張ったでしょ? 人間になりきれなかったけど、頑張ったでしょ?」 「そうだね。頑張った。分かれた意味があった。ボクもアサミが作った世界で空気を感じた。うん。悪くない」 「不完全だから感じることができるんだよ。世界がこんなにも美しいって。だからさ、お願い。もう少しこのままでいさせて」 「いいよ。でもアサミってさっき、ひとりで終わらせようとしたじゃない。今はもっとこのままいたいの?」 ケンジは意地悪だ。 私の気持ち分かっているくせに、すぐそんなことを言う。 「全部思い出したからもっといたいんだ。それにケンジにもっとこの世界を感じてほしい。太陽が沈むまででいいから……この太陽も最後のお役目だね。もう太陽が昇ることもないもんね」 「アサミ、色っていいものだね。アサミが言う『太陽』ってやつ? ボクの心に沁み込んでくるよ」 ケンジから言われると嬉しくなる。 私そのものを受け入れてくれたみたいで。
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