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「ケンジさ、私とケンジが分かれたのって初めてじゃない?」
「そうだね。確かに初めてだ」
「ということは、一緒になるのも初めてだよね?」
「そうだね。当然ながら」
「私さ、人間の時、心の穴を埋めるために男の子と恋愛してたんだ。人間はみんな不完全だから私と同じように心に穴があって、それを埋めるために恋愛するってことだよね?」
「そうだね」
「私ってさ、さっきも言ったけど、私が作った人間と恋愛しても心が埋まらなかった」
「そりゃそうさ、アサミと一緒になれるのはボクだから。さっき言ったよね?」
「うん……だから、ケンジと一緒になるのは、人間の言葉を使っていえば『運命の人と結ばれる』ってことなんだよ」
そう言ったとき、ちょうど太陽が沈んだ。
「ケンジ……会いたかった……」
私はケンジに抱き着いた。
ケンジも優しく私を抱いてくれた。
「ボクもだよ。アサミを失った空虚感はボクに強烈な痛みを与え続けていたんだ」
「ごめんね。私がわがまま言ったばかりに……」
「いいんだよ。辛かったけど、アサミのことが本当に大事だって気づいたから」
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