彼は光の中から現れた

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「ケンジは初めてなんだよね。これが人を愛するってことなんだよ」 「ボクも今は人間だもんね。恋愛ってこんなに切なくて愛おしいものなんだね。色とは違う美しさだね」 私たちはふっと笑いながら見つめ合った。 「ケンジ、これから私たちは一緒になる。これから恋愛が始まるんだよ」 私たちは、強く抱き合うと、体がとけ合って、ひとつになろうとしていた。 それと同時に、世界が次第に暗くなってきた。 「ケンジ……またいつか分かれようね」 「その時は、離れ離れになるんじゃなくて、一緒にいよう。一緒に学校に通おう。一緒に海を見よう。一緒に夕日を眺めよう」 「そうだね。ケンジも今度は乗り気なんだね。さっきまで人間を馬鹿にしていたのに……」 「アサミの作る世界は綺麗だし、恋愛も悪くない。一緒になったらこのワクワクもなくなって全くの無になってしまうからね」 「そうだね」 そして私はケンジと一緒になって、辺りは無に包まれた。 またケンジと分かれて私が世界を作り、ケンジと恋愛する日々を夢見て。
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