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私は崖の突端に立っている。
あと一歩踏み出すと今の私は壊れ、元の私になる。私の耳にはファンファーレが聞こえる。
それは祝福なんだと疑いようもない私がいた。
海の青が、空の青を挟んでいく。
茜色は次第に小さくなり、楕円に姿を変えた。
そこから一筋の光が私の瞳を照らした。
その光は1人の男の子のシルエットを象った。
「ボクはキミのことを知っているんだ。まさに今、ここに来ること分かっていたんだよ。ずっとずっと待っていたんだから」
この子はいったい誰なんだろう。
そして何を言っているんだろう。
この子は私を知っていると言った。
でも私は何も知らない。
「あなたは誰なの? 私は何も知らない」
「そっか。そうだよね。ボクはキミと一緒だったんだよ。ずっとずっとだよ。でもキミは産み落とされたいって願ったんだ。だから離れ離れになったんだよ」
まだ意味が分からない。
私とこの子とずっと一緒だった。
そんなこと知らない。
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