彼は光の中から現れた

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「さっきからキミとか言っているけど、私はアサミって名前なんだけど」 「あ、ごめん。言いたいことばかり言って、ボクの名前言ってなかったね。ボクはケンジっていうんだ。アサミと同じ17歳だよ」 「初対面で呼び捨てというのも納得いかないけど……まあいいよ。ケンジね」 「アサミは細かいことを気にするんだね」 失礼なことを言うものだ。大事なことなのに。 「ところでケンジは何者なの?」 私がそう言った瞬間、気付いたら目の前にいたはずのケンジは、瞬間移動するように私の隣に並んで立っていた。 「だから言ったでしょ? ずっとそばにいた人なんだって。それ以上説明しようがない」 「それの意味が分からないんだって。私とずっと一緒にいたと言うけど、私はケンジのことを知らないんだよ? 私が知らないのにケンジが知っているっておかしくない?」 ケンジは私の言葉を聞いて悲しそうな顔をした。 ずっとニコニコしていたのに。 だから思い切って言ったのに。 私はどうすればいいのか分からなくなった。 「ごめん……」 そう言うしかなかった。
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