ライオン傭兵団編:episode05

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ライオン傭兵団編:episode05

 オーブンから出てきて、すぐ運ばれたのだろう。チーズとベシャメルソースが、まだグツグツと皿の中で音をたてていて、キュッリッキの顔がニッコリと微笑んだ。そのあまりにも愛らしい笑顔に、食堂に居合わせた傭兵たちがドキリとする。  昼時ともあって、食堂は傭兵たちで賑わっていた。客は殆どが男ばかりで、キュッリッキのような若い娘は一人もいない。それに、キュッリッキは珍しいとされる召喚スキル〈才能〉を持っているので、傭兵たちの間でも有名人だ。そのキュッリッキがギルドで食事をしているので、自然と皆キュッリッキに注目していた。  ジロジロ見られていることなど気にもしていないキュッリッキは、スプーンですくったドリアに、小さな口でフゥフゥと息を吹きかけ食べている。熱々すぎて、すぐには口に入れられないのだ。  ドリアセットのトレイには、ドリアの皿とアイスティーしか置いていない。本来は緑の綺麗なサラダが付くが、生野菜が苦手なキュッリッキはサラダを省いて注文している。野菜が嫌いなわけではないが、青臭くて生はどうしても食べられなかった。残すのも悪いので、サラダは省いてもらっていた。     
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