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ライオン傭兵団編:episode02
ベルトルドは枕に背をあずけてベッドの上に座り、レースのカーテン越しに透けて見える月を、じっと眺めていた。
ちらりと隣に視線を向けると、女はぐっすりと仰向けに眠っている。つい数分前まで、激しく――女のほうが一方的に――睦み合っていた。ベルトルド自身はごく普通に性欲を満たしていただけなので、あまり疲れてはいない。
それというのも、夕刻にアルカネットから見せられた、写真の少女のことを考えていたからだ。
アルカネットが来る前までは、仕事明けにパーッと女とベッドに飛び込んで、仕事のストレスと性欲の両方を解消するつもりでウキウキしていた。ところが、写真を見せられ報告を聞くと、以降はもうそのことで、頭がいっぱいになってしまったのだ。
視線を再び月に戻すと、ベルトルドは小さく頷き、そっと目を閉じる。
(アルカネット、いるか?)
(はいはい?)
ほどなくして、淡々とした声が念話に応じる。
(件の少女のことだが。至急、傭兵ギルドに彼女と連絡を繋いでくれるよう、要請しておいてくれ)
(判りました)
(ライオンに引き入れよう)
(それは構いませんが、カーティスが首を縦に振るでしょうか?)
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