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 仕方ない。決断だ。 「持ち帰ります。」 「分かりました。少々お待ち下さい。」  そう言って、アイスコーナーの方に少し急いだ様子で向かっていった。  御飯を食べる前にアイスを食べるのは僕の中でルール違反だが、もったいないお化けが出ても嫌なので、2つとも今食べることにしよう。   「袋はご一緒でもよろしいでしょうか?」 「いいよ。」  本当は言いたいが、もう言う気も無い。 「ありがとうございます。」  眺めていると、アイスを下の方に入れている。 「ちょ……。」  そう言いかけようとした時、何か嫌なものを感じた。少し振り返る。  後ろの客が今にも舌打ちしますよという顔でこちらを見ている。  ならば言葉は僕の心の中にしまおう。 「ありがとうございました。」  袋に詰め終えた店員さんが僕に袋を差し出す。 「はい。」  それだけ呟いて僕は袋を受け取って、出口に向かった。  その出口は、社会の縮図に呑み込まれる入り口なのかもしれなかった。  これは……。  これは便利なのか? 【完】
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