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守人は、村では人を守る存在であった。百年に一人の割合で生まれると言われ、×を消す光を持つ。
紙を包む時に、百円玉に光を込めて詰め、太陽としておく。
「五百円玉ではないの?」
五百円の方が大きく適切だが、財布に入っていなかったのだ。
「百円玉を、二枚入れました」
太陽だけではなく、裏に月も入れておく。この紙の包みを、力を込めて小さくする。そして、田辺が鞄に付けていたお守りの袋の中に詰め込んだ。
「これを破ったら相当ですよ」
そこで、愛菜を見てしまった。身代わりは弱い方に行く場合が多い。加護のない愛菜が、田辺と一緒にいたら、巻き込まれてしまう。
「……李下さん、何かコインはあるますか?」
「あるよ。先に聞いてよ」
李下は、日本国通貨ではないコインを出してきた。誤って通貨として使用しないように、異なる大きさがいいらしい。
俺はコインに、先ほどと同じような事柄を、細字で書き込んでゆく。簡易であるが、これも身代わりになる。どちらかというと、相手にこの人間が属する世界を知らせ、部外者を排除する働きがある。
「我、守人。この者達に近寄る闇を排除する」
ついでに、俺の誓いの言葉も詰めておく。
「あの、上月さんって、本当に祓い屋とかの類ではないのですか?」
愛菜が、恐る恐る聞いてきた。
「違います!」
俺は、きっぱり否定しておく。俺は、むしろ人よりも霊は見えないし、霊も感じない。
「でも、ありがとうございます!信じてくれて嬉しかったです!」
愛菜が笑顔になっていた。呪いに対する不安など、なかなか分かって貰えなかったであろう。
「帰ろう!田辺君」
田辺は不愛想ではあったが、最後に深く頭を下げていった。
「上月君、おもいっきり護符だよね、アレ」
「何か問題がありますか?」
李下は説明しかけたが、客が来たので中断してしまった。
五時が過ぎると、夕食を求める客が多くなる。この店は格安であるので、すぐに満席になっていた。店内が満席になると、テラス席を解放する。
「志摩、セットをお願い」
志摩は洗い物をしていたが中断し、トレーに器をセットしてゆく。レジはあるが、表の食券販売機でチケットを購入して貰っているので、会計はない。
「定食五個」
定食は、モーニングと同様に自分で持って行ってもらうが、ビールは冷蔵庫から出さなくてはいけない。
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