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そこに、何かを探したような五十鈴が来ると、横に座った。
「上月、これ、上月かな?」
それは、何かの切り抜きのようで、周囲が破けていた。でも、後ろの棚などを見ると、喫茶店ひまわりであった。そこに、笑顔の俺と、黒川が映っていた。
「俺だけど、何か変?」
もう一度見てみたが、何もおかしい所はない。
「……そうなのか。これさ……」
破けていた部分には、続きがあった。後ろにガラスがあったのだが、そこには俺の背に光の翼が広がっていたのだ。他の部分に見出しもあって、天使なのか?と書かれていた。
思い出したが、これは翼ではなく、怒りの放電であった。そして笑っているのではなく、怒っていたのだ。
「……後ろで雷でもあったかな……」
あの時は、黒川が楽しそうなので理由を聞いたら、村が戦争状態だと言った。黒川が笑うと、ろくな事がない。
俺は仮死という事になっているので、戦争には参戦できないよと言うと、光二が狙われていると言った。黒川は、守人様の×なので、光二を守る義理はないという。そこで、俺の稲光が落ちたのだ。
「どこに行ったら、天使に会えるのかって、俺にも問い合わせが来る」
「そんなモノはいない」
でも、光の翼を見た者は、幸せな気分になったという。イライラしていても、それが自分の過ちだと気付くらしい。
「この写真、名張が撮ったのだと思うよ。名張は教授と別れた。上月のおかげだって言っているよ」
俺のおかげではなく、永新に乗り換えただけであろう。
「まあ、喫茶店ひまわりにはいい事だよ。客が増える」
客が増えるのはいいが、料理は多美が作っている。最近は志摩も料理を覚えて作り始めたが、多美の味には敵わない。
「そうでもなくて、料理が間に合わない……」
「そうか……でも、上月にはいい事だよ。悪いイメージが消えそうだ」
事故物件に住む変人のままでいい。
講義が始まっても、俺を見る視線が途絶えなかった。これでは、まともに学食に行くと酷い目に遭いそうだ。俺は、講義が終わると同時に立ち上がった。
「上月、午後もあるでしょ?」
「飯、早めに食べてくる」
学食が開いたので、講義の合間に食事を済ませてしまおう。すると、五十鈴まで一緒に早弁の状態になった。
時間は無くても、学食は大盛りとする。時間内に食べると、喋る時間もなく、次の講義に出る。
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