第十八章 沈黙の森 三

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 すごい言われ方をしているが、これでも、歴代の守人様の中でも、一位、二位を争う強さと言われていた。でも、攻撃をされなければ、小学生以下の危機管理とも言われている。 「あ、この駅だ」  駅を抜けると、少し歩き、雑居ビルに入る。その二階に、真っ黒なドアがあった。ここが、暗黒世界という怪しいグッズを売る店で、今は休業状態であった。  氷渡の姉が、ここの宝石や貴金属は買い取り、持ち主の親に代金を渡している。すると、正式に店を譲渡されてしまった。しかも、名義が俺になっていた。身代わり人形の代金にしては、高価過ぎるので辞退しようとしたが、既に取引は終わってしまっていた。  税金を支払うのが大変だと思ったら、氷渡が品物を処分した代金で、処理してくれていた。  ドアを開けて中に入ると、中も全て黒で統一されている。壁も棚も机も全て黒であった。そこに、呪詛用や札などの怪しいグッズが置き去りにされていた。猿のミイラなども陳列されている。 「この店で、身代わり人形を売っていた事になっているから、ここで売るといいよ」  一体五千円と値札だけ用意しておく。  ここの品物が処分できたら、紗英の店にしたいとも思う。 「かっこいい店ですね。夕方から夜の営業ですか。俺、呪いは得意ですからね……」  白河一人では不安になってきた。しかし、ここではバイト料など稼げそうにもない。店員を増やすなど無理であろう。 「ここで、神袋の契約を全て無効化できるように努力してね」 「はい!」  白河は掃除を始めていた。 「中の物は売ってもいいですね?」 「いいよ」  売れるものならば、全部売ってしまって欲しい。
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