第十九章 沈黙の森 四

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 俺は仮死になっているが、こちらの世界に光二が来ている事になっているせいもあり、隠れずに生活してしまっていた。  だが大学の帰り路で、黄野に会うと、どこか達観してしまっていた。この生活が、永遠に続くような気もしていたが、終わりは必ずあるのだ。 「黄野、家に帰ってからでもいいかな?」 「まあ、いいでしょう。ここで襲うと目立ちますからね」  駅前ではあったが、あちこちに征伐部隊が来ていた。人に紛れて潜み、又、店の中にも隠れている。  黄野と並んで歩くと、駅ビルの非常階段を登る。 「今度は、仮死では済まないよね。今度こそ殺されてしまうかな」 「俺は捕獲までですから」
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