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口の部分はクルクルと巻かれ、中身が出ないようにしてあった。
五十鈴は、中を見ようとして愛菜に怒られた。
「その神袋と呼ばれるものは、開かずに、次に回すのだそうだ」
神袋を開かずに、一週間持ち歩き願いをかけると、その願いは叶うという。そして、一週間後に、次の人に渡す。
「女子高生って分からないね……」
愛菜は高校二年生であった。
「五個の願いを詰めたら、山に埋めてくるらしい」
愛菜は、親友と同じ大学に進学する事を願っていた。そして、山に神袋は埋まった。
「昨日、愛菜が泣いていて、どうしたのか聞いてみた。すると、神袋を開いて一人が死んだと言った」
愛菜達の神袋は、山に埋められているが、他とも紙袋をしていた友人が、誤って袋を開いてしまったらしい。
その友人は、腹が痛いと言って早退し、そのまま死んでしまっていた。
「愛菜は彼氏とも紙袋をしようとした。でも、愛菜の彼氏は信じずに笑って袋を破った」
愛菜は、助けてと五十鈴に言った。そして、五十鈴は俺に手を合わせている。
「だから、俺は信じていないだけで、そういうものの専門家ではないの」
講師が来てしまったので、そこで会話を止めておく。
しかし、気になって、慧一に情報を流してみた。慧一は、日中は暇だと言っていたが、最近は何か忙しそうにしている。小さいが、自分の畑を持ったので、手入れをしていると言うが、どうにも信用できない。
慧一は、女子高生の死亡を知っていた。原因は、感染によるもので、病死とされていた。神袋の噂を探して貰うと、かなりの確率で願いが叶うおまじないと評判になっていた。
でも、その叶った願いを読むと、呪いのようであった。
叶っている願いは、嫌いな女がいなくなった、二股彼氏を消して欲しい、店長なんて死んでしまえなどであった。
神袋を覗いたり、破いたりしてしまった場合は、登録した五人全員に災厄がかかると書かれていた。では、五十鈴の妹の愛菜も、危険ということになる。
講義が終わると同時に、五十鈴が立ち上がり、俺の腕を引っ張った。
「学食を奢る」
それでは俺が、学食で相談に乗っているようにみえる。
「五十鈴、俺は事故物件に住んでいるけど、詳しくはない」
「妹が心配でさ」
「……五十鈴……」
仕方なく、五十鈴の話を聞く事にした。
「スペシャルランチをお願いします」
隅に隠れて座ると、まず、神袋の作り方から説明して貰う。
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