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「寒いんだけど」
秋がしごくまっとうな文句を言うも完スルー、部屋中細かくチェックしながら、スマホの電卓で何やら繰り返し計算し、同じぐらいの大きさのメモパッドに熱心に書き込みをしている。
居室がすんだら次は台所、それがすんだらUB兼トイレ……キビキビと動き回る。
黒に細いラインの入った、着古して毛玉だらけのジャージ上下に半纏姿の秋は、手持ち無沙汰な様子でバリバリと頭を掻く。フケがパラパラ落ちるのが注視しなくても分かる。
裸足に便所スリッパを履き、片方の足でもう片方の脛のあたりをしきりに掻いている。
「思っていたほどじゃなくてビックリ。お母さん話盛り過ぎw えっとぉ、このレベルだとスタッフは……冬を入れて4人でいけると思う。時間的には4~5時間を目安に自給¥1200で6000×4=¥24000、待機してもらってた子2人に50%払ってもらいたいからプラス¥6000、冬たちのランチ代¥4000――しめて¥34000、どう?」
「…………まぁ、いんじゃない」
「じゃ、決まり! さっそく始めるから、秋ちゃんはシャワー浴びて着替えたら、さっさと消えて。バイト代は冬の口座に振り込んでくれてもいいけど、ランチ代は置いていってね」
「駅前のファミレスより、通りの先の洋食屋のが美味いぞ。量も多いし……まだまだ色気より食い気だろ、おまえら?(笑)」
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