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「ちょっ、それは…一体どういいうことで?」
ノスタルジックな表情を浮かべている貴彪の後ろに回り込み、美咲は彼の背中から、その手元を覗き込んだ。
「ああ…あった、これだ」
「うわっ」
彼が示したページには、暗い色調の恐ろしい絵画が見開きに印刷されている。
「『息子を食らうサルトゥヌス』。
俺の守役だった男が、小さな頃、俺によく見せた絵だ。
“父親に喰われるな” 何度もそう言われたが、これがまた気色悪くてな。
この絵も守役の男も、俺は大嫌いで…あんまり嫌だったから、ある日このベッドの下に隠してしまったんだ。
はっ、たかがこんな印刷物がな。
で、これがどうしたんだ?四葉」
「あ、いや、べ、別に…」
ハハハ…
苦笑いで誤魔化す美咲に、今度は貴彪が迫る番だった。
「そういえばお前さっき、俺に『ひれ伏せ』とかどうとか言ってなかったっけ?」
![image=507688347.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/507688347.jpg?width=800&format=jpg)
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