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5 美咲・貴彪『帰着点』
「めめめ…滅相もございませんっ」
「フン、お前のことだ。
どーせ、俺の弱味でも掴んだつもりで、離さず握りしめていたんだろう。
そのせいで引っ掛かっていたとも知らずにな」
バ カ め ー ー ー !
言わんばかりにふんぞり返る貴彪に、美咲は無意識にハゲに手をあてた。
貴彪はさらなる追い討ちをかける。
「その上、せっかく助けてやった俺を脅迫しようとするとは…
知っているか?この国の昔話は、鳥類でも命の恩に報いるんだぞ」
「は、ハハハ。『鶴の恩返し』ですね。ウマイこと言うなあ~。
あ!やだ、もうこんな時間。では私めは食事の支度を…」
逃げ足だけは早い美咲。
彼女は素早く貴彪の脇をすり抜けると、ドアノブに手をかけた。
が____
「待て」
「ほよ?」
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