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その晩、残業で遅くなった僕は駅から出る最終バスを逃してしまい、やむなくアパートまで歩いて帰ることにした。
徒歩なら40分以上の道のりである。
仕事の疲れもあり、途中の公園で自販機のジュースを買って小休止することにした。
(はあ。明日も早いのか……)
僕はベンチに腰掛け、缶ジュースを飲みながらボンヤリしていた。
青白い月の光が、公園内に設置されたいくつかの遊具を照らし出している。
やがてそのひとつに目が止まった。
鉄骨の下にゆりかご型のゴンドラをぶら下げた、いわゆる「箱ブランコ」と呼ばれるタイプだ。
ゴンドラの中に小柄な人影が座り、ゆっくりとブランコを揺らしていた。
(子ども……こんな時間に?)
ワンピースドレスを着た、5、6歳くらいの女の子だ。
周囲に保護者らしき大人の姿は見えなかった。
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