2.双頭の共命之鳥《ぐみょうちょう》

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高広が調理場から出てスライド式のドアを閉めると、 「ああ、そこは立ち入り禁止ですよ」 ちょうど通りかかった他の信者が声をかけてきた。 高広は、 「すみません。昨日、来たばかりで迷ってしまいました」 愛想よく微笑みながら信者に答える。 高広の悪びれない態度に、 「昨日? ではあなたは、祭典に招待された方でしたか。それは失礼しました」 信者の方が腰を引いた。 高広は親しげに手を振りながら、 「いえいえ、こちらこそ、こんな場所まで入り込んで申し訳ない。少し人疲れをしてしまったようで――」 閉じたドアの向こうに、視線を向ける。 「中の方にお願いしたら、水をくださると、ここまで案内してくれたのです」 「中?」 高広に釣られるように、信者もドアに目を上げれば、 「!」 まるで盗み聞きでもしていたように、タイミングよくドアが開く。 当然、そこに立っていたのは、龍一。
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