2.双頭の共命之鳥《ぐみょうちょう》

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龍一は信者に向かって深々と頭を下げる。 「勝手なことをして申し訳ない真鍋同士。しかしこの方は、高場秋広さまとおっしゃって、本日からこの本部に入ることを許された方です。少し気分が悪いとおっしゃったので、こちらで休んでいただきました」 龍一は高広の偽名を用いて紹介しようとする。 しかし、龍一の顔を見た真鍋は、 「ヴォルコフ同士、ここでしたか!」 龍一の言葉を最後まで聞こうとせず、龍一の腕を掴む。 「探していたのです。教祖さまが、ヴォルコフ同士のことをお呼びなのです。早く会場にお戻りください」 「いえ、しかし……」 龍一はチラリと高広の方を見る。 その顔には表情の欠片など一片も見えないが、高広にはわかった。 史上最高に、ムカついている顔だ。 高広が真鍋に接触したことが気に食わないのだろう。 もちろん、真鍋はそんなことには気づかず、 「高場さまは、私が案内します。同士は心配せずに、今すぐに教祖さまの所へ」 龍一の背中を押した。 真鍋にそこまでされて断るわけにはいかないらしく、 「……わかりました」 龍一は、真鍋に一礼してから、背中を向けて廊下を歩いていく。
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