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繋いだ手は一旦離したが、すぐまた触れられるように、近くに置いておく。
真鍋はそんな高広をひどく気にして、チラチラと視線を揺らす。
もじもじと体を揺らしながら語り出した。
「ヴォルコフ同士ほどの方が見込まれたのなら、私が話さなくても、いずれ聞き及ぶと思いますが……」
そんな前置きをしてから、
「私から聞いたとは、誰にも言わないでくださいね」
「もちろんです」
高広が微笑むと、真鍋は胸の前でギュッと手を組んだ。
「迦陵頻伽の詩を聞くことで、我々は、あまねく『常世の世界』に導かれると言われています。ですから本日の儀式もたいへん尊くありがたいものです。ですが、実際はそう簡単に、常世への扉が開かれるわけではないのです」
別に『光の国』の信者ではない高広にとっては当たり前のことだが、ここに集まっている信者たちにとっては、信仰心が揺らぎかねない重大な発言なのだろう。
真鍋は声を潜めて続ける。
「迦陵頻伽が『常世の世界』に導くのは、迦陵頻伽と心を分かち合った、ただひとりだけ。本当に結ばれた相手だけが、共命之鳥のように命をわかった『光の国』に生まれ変われるのです」
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