2.双頭の共命之鳥《ぐみょうちょう》

10/15
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
『光の国』の協議は、子どもと家族が幸福になること。 命をわかったふたりというのだから、恋人か夫婦か、まずは基本の家族というだろう。 しかし現世で恋人を望んでも、どうしても手に入れられない者はいるわけで……。 中嶋教祖はそういった者たちに、来世での幸福を約束する。 そのために現世で修行を積む。 まあ、どこにでもある新興宗教集団の教義だ。 だが、あの儀式は……。 『胸くそ悪い』 思い出しただけで気分が悪くなってくる。 嫌悪感しか湧いてこない。 しかし、 「では、迦陵頻伽の詩を聞いても、皆が導かれるわけではないと?」 真鍋の話を聞く高広の顔には、本当の感情など微塵もみえない。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!