2.双頭の共命之鳥《ぐみょうちょう》

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真鍋は……、 要するに、フラれたショックで入信した、という意味だ。 しかも相手は『彼』だと言った。 おそらく、真鍋の相手は、龍一や高広のような白色人種系の男だったのだろう。 男だから上手くいかなかったのか、真鍋だからダメだったのか、それは本人同士にしかわからないことだが、事情はそんな難しいことじゃない。 説明するならほんのひと言で語れるような簡単な現実を、真鍋は、しちめんどうな理由や言い訳で説明する。 要は現実を見ていない、ということだ。 『くだらねぇ……』 高広だったら、ひと言で切って捨ててしまうだろうが、どう生きるのかは、本人の勝手だ。 口を挟める筋合いではない。 真鍋は、 「中嶋教祖さまの共命之鳥(ぐみょうちょう)となる相手は、すでに常世の世界にいらっしゃるそうです。そこで教祖さまのことを待っていてくださる。すでに常世の世界を約束されているのに、私たちを導くために現世に留まっておられる。ありがたいことです」 そう締めくくって頭を下げる。
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