57人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
真鍋は……、
要するに、フラれたショックで入信した、という意味だ。
しかも相手は『彼』だと言った。
おそらく、真鍋の相手は、龍一や高広のような白色人種系の男だったのだろう。
男だから上手くいかなかったのか、真鍋だからダメだったのか、それは本人同士にしかわからないことだが、事情はそんな難しいことじゃない。
説明するならほんのひと言で語れるような簡単な現実を、真鍋は、しちめんどうな理由や言い訳で説明する。
要は現実を見ていない、ということだ。
『くだらねぇ……』
高広だったら、ひと言で切って捨ててしまうだろうが、どう生きるのかは、本人の勝手だ。
口を挟める筋合いではない。
真鍋は、
「中嶋教祖さまの共命之鳥となる相手は、すでに常世の世界にいらっしゃるそうです。そこで教祖さまのことを待っていてくださる。すでに常世の世界を約束されているのに、私たちを導くために現世に留まっておられる。ありがたいことです」
そう締めくくって頭を下げる。
最初のコメントを投稿しよう!