2.双頭の共命之鳥《ぐみょうちょう》

13/15

57人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
高広は、 「真鍋さまのお言葉、大変に感動いたしました」 にっこりと微笑んでみせた。 「また、中嶋教祖さまの深いお心に一端でも触れることが出来て、身が引き締まる思いがします」 我に返れば、真鍋は、自分がしゃべりすぎたことに気づくだろう。 それを悟らせないために、高広は真鍋に虚構の充実感を植え付けていく。 「真鍋さまは、私のいたらない心さえも受け止めてくださいました。私を救ってくださったのです。 この世に生きる天道を示してくださるのは教祖さまですが、私にとって真鍋さまも、救い手をくださる大切なお方。私の共命之鳥であったらと、つい願ってしまうほどの……」 ちなみに共命之鳥(ぐみょうちょう)とやらは、ひとつの体に頭がふたつある鳥である。 思考する頭はふたつあっても体はひとつしかないから、生涯を共に生きる。 おそらくソレは、真鍋が望む幸せの理想系なのだろう。 真鍋は、 「……高場同士」 感激したように声を詰まらせた。 「これからも、私に何でも……、何でも話してください。私はあなたの力になりたい」 「それは私も同じ気持ちです真鍋さま。あなたが私の力になってくださるのなら、私もまた、あなたの力になります。共命之鳥とは、そうあるべきだからです」 高広が笑みを浮かべると、真鍋は感極まって涙を流す。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加