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高広は、
「真鍋さまのお言葉、大変に感動いたしました」
にっこりと微笑んでみせた。
「また、中嶋教祖さまの深いお心に一端でも触れることが出来て、身が引き締まる思いがします」
我に返れば、真鍋は、自分がしゃべりすぎたことに気づくだろう。
それを悟らせないために、高広は真鍋に虚構の充実感を植え付けていく。
「真鍋さまは、私のいたらない心さえも受け止めてくださいました。私を救ってくださったのです。
この世に生きる天道を示してくださるのは教祖さまですが、私にとって真鍋さまも、救い手をくださる大切なお方。私の共命之鳥であったらと、つい願ってしまうほどの……」
ちなみに共命之鳥とやらは、ひとつの体に頭がふたつある鳥である。
思考する頭はふたつあっても体はひとつしかないから、生涯を共に生きる。
おそらくソレは、真鍋が望む幸せの理想系なのだろう。
真鍋は、
「……高場同士」
感激したように声を詰まらせた。
「これからも、私に何でも……、何でも話してください。私はあなたの力になりたい」
「それは私も同じ気持ちです真鍋さま。あなたが私の力になってくださるのなら、私もまた、あなたの力になります。共命之鳥とは、そうあるべきだからです」
高広が笑みを浮かべると、真鍋は感極まって涙を流す。
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