しりとり

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しりとり

「しりとりしよ」 前触れ無く君が言う。 「よし、わかった」 頷いた僕に君はニコリと笑顔を浮かべて口を開く。 「たい焼き食べたのは君か?」 「あ、ごめん」 「あ、じゃない。たい焼き返せ。あと最後は、か」 どうやらしりとりは始まっていたらしい。 「んー、ガンプラ」 そう答えた僕に君の眉間に皺がよる。 「何でそうなの」 「濁点くらい良しとしようよ」 口を尖らせる君に、笑えば不満そうな表情だけが返ってくる。 「来週は私の誕生日なんだけど」 カレンダーも君の視線も無視。 「ドレミの歌」 むすっとした表情も見て見ぬフリをする。 「竹」 不貞腐れたような顔をして短く君は答える。 その表情が変わるのは、あと数秒後。 「結婚しませんか?」
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