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ジャバラというフード付きのコートをまとった女が、天井に張り付いていた。
「くふふふふふふふふふふふふふふふ、さすが三柳君とでも言っておこう。
君は本当に賢い。
そして、ひどく優秀だ」
ジャバラはこちらを静観している。
まるで映画でも見ているかのように、この状況を楽しんでいるようだ。
「だけどね、ゲノムの渡し手に君が創った生物がふさわしいかどうかはまだ分からない。
少なくとも、君には分からないはずだ。
それを選ぶのは君ではないのだから。
だから、暴れさせるんだろう?
その生物を」
「もちろんそのつもりだねぇ。
奥の手の出しあいは好きじゃないんだ。
最初から全力でぶつかれば勝利は最速で決まる。
僕は忙しいんだ。
さっさと終わらせないといけないんだ。
だから、出すぜ。
最終の生命体、ゲノムの渡し手」
開ききった扉の中から、一匹の生物が現れた。
何だこれ?
私はその生物を見てそう思った。
バカでかく気色悪い生物だ。
ふわふわと浮かぶ全長50mはありそうな、大きな大きな真っ黒な球体。
その中心には、これまた大きな大きな目が付いている。
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