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そのことにより、ゲノムの渡し手の右手を弾けた。
もともと三柳の再生能力を突破できるようにと、エネルギーを貯めていた英雄の銃。
しかし、背に腹は代えられなかった。
私など人差し指の第一関節から上ですら潰せそうなほどに大きな右腕が、こちらに迫っていたのだ。
銃を放つしかなかっただろう。
私の英雄の銃が放った雷とゲノムの渡し手の右手がぶつかった衝撃により、この硬かった施設が破損した。
上下にできた亀裂より、空が見える。
この薄暗い場所とは真逆の、快晴の空が見える。
「あなたは戦わないの?」
緑原さんが天井にいるジャバラに向かってそう質問した。
「私は観戦者だから、手は決して出さない。
気にせずに戦ってくれていいよ」
ジャバラが笑う。
緑原さんはジャバラと話がしたかったのではないだろう。
私のために時間を稼いでくれようとしたのだ。
しかし、失敗だ。
ゲノムの渡し手がその手をこちらに向けてきた。
もちろん、こちらの都合などお構いなしなのだろう。
再び私の方にその手が向かう。
回転の指輪を使おう。
私は回転の指輪で瞬間移動した。
移動した私のすぐ横、ピンクの1本の線が通っている。
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