25話 ゲノムの渡し手

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「俺もいるんだよねぇ」 三柳がそのピンク色の線を動かした。 私の胸元から下が切り離された。 あ、死んだ。 私はそう理解した。 しかし、何故か生きている。 杏奈ちゃんが私の横に立っている。 そして、その手を私の胸元にあててくれている。 私のバラバラになった胴体が、元に戻ったのだ。 「めんどくさい能力だねぇ」 三柳がそう口にした。 「それはお互い様でしょう?」 杏奈ちゃんが挑発するような笑顔を作った。 杏奈ちゃんの回復の指輪で、私の胴体を回復してくれたのだ。 その行為を、三柳はめんどくさいと口にしたのだ。 私の切り離された胴体は完全に元に戻っている。 杏奈ちゃんのサイコロも今回良い目を出してくれた。 それにより、回復速度および回復精度が高かったのだろう。 なんとか死なずにすんだようだ。 ジャバラがしっかりと我々の戦いを観察しているのが分かる。 目しかついていなかったゲノムの渡し手に、1つの口が現れた。 その口は大きく大きく開き、私達の耳をつんざくほどの絶叫を上げた。 私達は耳を塞いだ。 三柳も耳を塞いでいる。 ジャバラ以外の全ての人間が耳を塞いでいるのだ。
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