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「俺もいるんだよねぇ」
三柳がそのピンク色の線を動かした。
私の胸元から下が切り離された。
あ、死んだ。
私はそう理解した。
しかし、何故か生きている。
杏奈ちゃんが私の横に立っている。
そして、その手を私の胸元にあててくれている。
私のバラバラになった胴体が、元に戻ったのだ。
「めんどくさい能力だねぇ」
三柳がそう口にした。
「それはお互い様でしょう?」
杏奈ちゃんが挑発するような笑顔を作った。
杏奈ちゃんの回復の指輪で、私の胴体を回復してくれたのだ。
その行為を、三柳はめんどくさいと口にしたのだ。
私の切り離された胴体は完全に元に戻っている。
杏奈ちゃんのサイコロも今回良い目を出してくれた。
それにより、回復速度および回復精度が高かったのだろう。
なんとか死なずにすんだようだ。
ジャバラがしっかりと我々の戦いを観察しているのが分かる。
目しかついていなかったゲノムの渡し手に、1つの口が現れた。
その口は大きく大きく開き、私達の耳をつんざくほどの絶叫を上げた。
私達は耳を塞いだ。
三柳も耳を塞いでいる。
ジャバラ以外の全ての人間が耳を塞いでいるのだ。
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