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「おはよう、諸君」
大きな大きな電子モニターは、1人のいやらしそうな男を映し出している。
ガスマスクのガラスを通して見えるその中年男性は、ニヤニヤとむかつく笑顔を作っている。
映画館かと思うほどに巨大な電子モニターには、そのニヤニヤとした男の胸から上だけが映っているのだ。
「君達ははじまりの大陸をクリアした天才だよねぇ。
さぞ頭がいいんだろうねぇ。
さぞ意思が強いんだろうねぇ」
電子モニターの先、私は手を出すことすらできない場所にいるその男は、科学者のように白衣をまとっている。
そして、その頭には鳥の巣のようにぼさぼさと絡まった青色の髪を有している。
真っ赤なゴーグルを装着しているため、その目は見えないが、見えている目以外の部分全てで私達をあざ笑っている。
そもそも、この男が他人に対して天才だと言うことがすでにバカにしているのだ。
世界の科学を1000年進め、1000年退化させた男、三柳 伸次朗。
直接会ったことはない。
しかし、名前くらいは知っている。
私が死ぬ前にいた地球という星で、超有名人だったのだ。
そして、天才なのだ。
21世紀、何十億人もの人間が生きていた。
しかし、こいつはその何十億人の中でも、圧倒的にずば抜けていたのだ。
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