二章 メイド喫茶、行ってきます

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「戻りました」 「お帰りなさいませ、お嬢様?」 自室のドアを開けると、天樹は地面に寝そべりながら返事を返した。 「………」 男を観察する。全身に汗をかき、疲労で息も上がっている。 私が出てからずっとリハビリを続けていたのでしょうか……? 「今日は、TVに映っていた白いライダーに出会いました。」 「へぇ……」 「……。お仲間も心強そうで、余程の相手でなきゃ負けないと思いますよ?」 「……それで?」 天井を見つめながら返事を返す彼。私が何故こんな話をしたのか、それを考えてる筈だろうに、その表情は殆ど変化がない 「わかりませんか?貴方が再び戦場に戻らずとも物語は終結する………いえ」 気がつけば、私はこの男に対して辛辣な言葉ばかりかけてしまっています。 それを栖井恋華(ワタシ)は非難しますが、それでも話すことを止めようとはしません 「貴方がいてもいなくても、きっと何も変わりません……。 貴方はこれまで充分やった……無駄な苦悩を背負う事なく現実を受け入れなさい」 何故なら、この男を止めたかったから。 1人の女に翻弄され、死線をさ迷った挙げ句……力も、かつての体すら失った 唯一、最後に残った命まで失うつもりですか? ですから、私は彼を諦めさせようと思うのです。 それが、私に出来る借りの返しかた、ですから
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