三章 白銀、次の舞台へ

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ーー…… 「……私の言葉など聞いていなかったでしょうに。よくもまあ、そんな事を言えましたね」 回想を終える。あれが確か数週間前の事で、それ以降私は彼を止めていないが…… 彼の調子は回復しつつある。 (かの轟鬼には及びませんが、気力とは侮れないものですね……) 「ん?どーしたの?」 ムッとする私を不思議そうに見る彼から顔を背けて食事を進める。 「で、今日も出掛けるのか?」 「ええ、まだ会いたい方がいますので」 それは篠原 輝、この前リベルに救われていた高校生。 ここ最近のニュースを見るに……彼もベルトを手にしたような気がするが、とりあえず会うだけ会っておきたい 「ふーん……。何か手伝える事は?」 「ないので、家事でもしててください」 「はいはい。喜んで」 諦めたように緩い返事を返した天樹コウタは私から離れて腕立て伏せを始める。 私はそんな彼を尻目に食事を済ませて身支度を整えると、そのまま家を出る また……。私のいない一室で、動けないよう細工したバッドバイラルコアが彼を見つめているのを私は後に知るのでした ーーーー 今日は篠原 輝の通う赤井高校付近を散策することにしました ですが、私が見かけたのはお目当ての人物ではなく…… 河川敷で大人数に囲まれている女性。 先日、呼道勇騎と会話していた海原 夏樹でした。 集団の中から1人の女性が前に出て彼女を見ながら余裕の笑みを浮かべます 「お久しぶりね、絶対零度の女王様……いえ、海原さん?」 「…………」 海原夏樹はその空気に表情を変えることなく………顎に指を当てました。 「あ、あら?も、もしかして覚えてないの?」 「………?」 「ちょ、ちょっとー!ほ、ほら!私よ、前に貴女とライダーサモンしたシザース使いの!」 「……あぁ。確か卑怯ならっきょうの」 何やら浅い因縁がありそうな二人ですね。 覚えて貰ってた事に安堵した女は表情を引き締め直して海原夏樹を指差します。 「何よ卑怯ならっきょうって!私は羽鳥 エリ!覚えておきなさい!」 「……。で、そのエリさんが何の用ですか?」 「決まってるじゃない、この前大学で私に恥をかかせてくれた仕返しよっ!!」 そう言うと彼女を始め、彼女の取り巻き全員がベルトを腰に巻き始めました。
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