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「えっと、要するに……この世界を散策するために私の体を間借りしたい、と?」
声の主の話を要約するとこういうことでした……つまりどういうことでしょう?
『そうです。私自身が此方の世界にこれるのが良かったんですが……私が直接動くと色々問題がありまして……』
「はぁ……?私にはスケールが大きくて想像しきれませんが、でも……でも何で私なんです?」
それは根本的な疑問。
先程言ったように、一般人である自分が何故選ばれたのか、ということで……
『貴女は、私の身体、精神での合致率が最も高いからです。勿論100%とはいきませんけどね』
「な、なるほど……」
自分の体をマジマジと見つめる。そう言えば、この女性と会話してるとまるで自分と話してるような感じがするのはそのためだろうか?
「……、わかりました。突然の話ですけど、きっと悪い人じゃないと思いますから……貴女に体を貸します」
私には予感があった。この先に待ち構える事は、平凡な私の人生に大きな影響を及ぼすだろうという予感が
『ーー、ありがとう。では、鏡の前に立ってください』
彼女に言われるままに姿見の前に立つ。
姿見に映る私は……いや、違う
私と同じ格好、同じ顔をした彼女は驚愕する私に反して微笑むと、掌を此方に向ける
合わせろ、という事だろう。私が掌を鏡に重ねた瞬間、鏡に映る彼女から光が溢れ、私の体内に消えて行った。
「不具合なし、心身共に同調……これで私は貴女で貴女は私で……ふふ、楽しくなってきましたねっ」
と、貸すと言うよりは一体となったような感覚に浸りながら私の不思議な日々の幕が明けたのだった。
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