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内心驚いていると「な?」とヤクザ店長が視線を送ってくる。これが奴のいう太客という事なのだろう。確かにこんなのが何人か(毎日来てくれるとして)いれば客数自体は少なくても利益はあがるかもしれない。FCとかそこらへんの問題はどうなってるんだろうとか考えてみたが、このヤクザ店長を前にして文句を言える猛者はいないのだろう。
「っと、そうだった」
腕時計を見て時間を確認する。そろそろ戻らないと会社で食べる時間がなくなってしまう。慌ててコンビニを飛び出した。
星野 想真(ホシノ ソウマ) 1月18日生まれ。
身長は172cm、体重60kg、好きなものはマヨネーズ。
子供の頃体が弱かった以外は至って普通。体に関しても空気の綺麗な田舎暮らしを続けたおかげで、今では健康体となった。そんな平凡な俺に転機が訪れたのは今から2年ほど前、都内の中小企業の新卒採用をもらい引っ越してきた頃だ。意気揚々と引越してきたのはいいが、すぐに都会の洗礼を受ける事になる。
「どこだここ…」
悪意を感じるほど入り組んだ道。似たような標識や店が多い表通り。話しかけるなオーラ全開の歩行者たち。そんな冷たい世界でスマホ片手にさ迷うこと三時間。俺は早くも挫けそうになっていた。
「今日中に荷造りしなきゃいけねえのに」
せっかくの土日だからとぶらぶら街を歩いたのがいけなかった。コンクリートジャングルは一度迷い混むと魔境に変貌するらしい。
ブロロロロ
エンジン音が背後から聞こえてくる。狭い路地なのでぶつからぬようなるべく端に移動した。
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