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 ユキと別れた僕は、ユキは僕が途中からおかしな状態になったことに気付いていただろうかと考えた。多分、気付いていただろう。途中から、そう、あのシロクマの子供の話を聞いてから僕は自分でもハッキリとわかるくらい上の空だった。  家に着くと夜の9時を過ぎていた。僕が玄関のドアを開けると、弟が出かけるところに出くわした。弟は僕の方をチラリと見ると、無言のまま家を出て行った。僕の方もいつものことだと思って無言でいた。  家に入ると母親が僕に向かって「お帰り」と言ったが、表情は不機嫌だった。 「まったく、あの子ったら。また行先も言わずに出て行ったの」  僕は母親に落ち着くように言うと、自分の部屋へと引っ込んだ。
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