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 ユキの話はどれもたわいのないものばかりだったが、あまりにも楽しそうにしゃべるので、僕は思わず聞き入ってしまった。気付いた頃には外はすっかり暗くなっていた。ユキと会話を始めてからかなりの時間が経ってしまったようだった。 「やだ! こんな時間になっちゃって。そろそろ帰らないとですよね。時間、大丈夫でしたか?」  ユキが店内の時計を見ながら、びっくりしたように言った。 「大丈夫だよ、特に用事もないし」 「よかった。すみません、お礼だとか言っておいて私ばっかりしゃべっちゃって。今日、楽しかったです。でも、私ばっかり話して退屈しなかったですか?」 「いや、楽しかったよ」  僕はそう言った後に、自分はこの長い時間ユキと話していて(ほぼユキの方がしゃべっていたが)楽しかったんだな、ということに改めて気付いた。 「そう言ってもらえるとうれしいです、ありがとうございます! また時間が合ったら、ここ一緒に来ましょう。他にもいろいろとお話したいです」 「いいよ」 「ありがとうございます! じゃあ、また!」  ユキは大げさに手を振りながら僕のことを見送ってくれた。周りにいた人がジロジロとユキと僕のことを見ていた。  僕はユキに小さく手を振ると、ちょうどやってきたバスに乗り込んだ。ユキにまた会えると思うと、自分でも意外なほど嬉しい気持ちになった。
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