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「次の練習、いつにする?」  バンド仲間から連絡が入った時、僕は思わず金曜日の夜でと答えてしまった。答えた後に自分でも驚いた。僕はユキに会うのが怖いみたいだった。  二回ほど金曜日の練習が続いた。その週の日曜日、僕は一人で買い物に出かけた。 「あっ! ホクトさん!」  帰り道に声を掛けられて、振り返るとユキが僕に向かって走ってくるところだった。ユキも買い物の帰りらしく、野菜とかジュースの入ったスーパーの袋を持っていた。 「最近会わないから、どうしていたんだろうって思ってました」 「うん、最近、金曜日の夜にバンド練習をしていたんだ」  僕は何でもないような感じで答えようとしたが、どうしてもユキの目を直視することが出来なかった。 「そうなんですね。お出かけですか?」 「うん、本屋とレコード屋に。もう、帰るけど」 「じゃあ、よかったら、私の部屋に来ませんか? 久しぶりに会ったんでお話したいです! ここのすぐ近くなんで」 「えっ?」  僕は意外な展開に驚いた。「でも、家の人とか、急に行ってビックリしない?」 「私、一人暮らしなんです。気にしないでください! こっちです」  ユキは言うとスタスタと先を歩き始めた。僕はてっきりユキは実家暮らしだと思っていたが、違ったようだ。  僕はユキに断りの言葉を掛けようとしたが、ユキは急に立ち止まり、振り返って僕に笑顔を向けた。 「私の部屋、ここです」  ユキは二階建てのアパートを指さしながら言った。本当に近くだったらしい。ユキはサッサと階段をのぼってしまうし、完全にタイミングを逃した僕は取りあえずユキの部屋に上がることにした。
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