11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ、あぶねーなっ」
間一髪で空壁(ビュロウ)を繰り出し、周囲の人間を囲んで防いだハイレンは女に文句をいう。
「あれ…………っと」
背後からの殺気を躱し、続けての攻撃も難なく躱していく。
「このっ」
「おい、いい加減にしろよ。こんな所で暴れたら一般人に被害が及ぶだろっ」
「そんなの私には関係ないことよ!」
「うをぉ」
傭兵は剣を握っているイーラの手首を押さえ込むが、その手のひらから劫火球が繰り出されギリギリで避けた。
「女だからと嘲笑し……あまつさえ……私の……っ……絶対に許すものか!」
間合いをとり、何やら言葉を紡ぎ始める。
その声に答えるかのように、昼間だというのに暗雲が立ちこめ、さらには木造の建築物が音をたててひしゃげ始める。
建物内にいた人々は外へ出るが、途端に苦しみだした。
イーラ以外は重い圧迫感をその身に感じているのだ。
「こんな街、潰れてしまえばいいっ」
ふられた腹いせに、街ごと破壊しようとするイーラはまさに、『死の鳥』と化そうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!