1.死の鳥(モルテ・フォーゲル)からのラブコール

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「ちょ、あぶねーなっ」  間一髪で空壁(ビュロウ)を繰り出し、周囲の人間を囲んで防いだハイレンは女に文句をいう。 「あれ…………っと」  背後からの殺気を躱し、続けての攻撃も難なく躱していく。 「このっ」 「おい、いい加減にしろよ。こんな所で暴れたら一般人に被害が及ぶだろっ」 「そんなの私には関係ないことよ!」 「うをぉ」  傭兵は剣を握っているイーラの手首を押さえ込むが、その手のひらから劫火球が繰り出されギリギリで避けた。 「女だからと嘲笑し……あまつさえ……私の……っ……絶対に許すものか!」  間合いをとり、何やら言葉を紡ぎ始める。  その声に答えるかのように、昼間だというのに暗雲が立ちこめ、さらには木造の建築物が音をたててひしゃげ始める。  建物内にいた人々は外へ出るが、途端に苦しみだした。  イーラ以外は重い圧迫感をその身に感じているのだ。 「こんな街、潰れてしまえばいいっ」  ふられた腹いせに、街ごと破壊しようとするイーラはまさに、『死の鳥』と化そうとしていた。
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