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 何が理由だったかは知らないが、この傲慢な男の心を乱せるのはきっと、この美しい青年だけなのだろう。 「ずっとお前が欲しかった。お前をこうやって裸に剥いて、触って、舐めまわして、奥まで突き上げて、お前をぐちゃぐちゃに泣かせたかった」 「へ、変態ッ!!!」  これ以上ないほどに顔を真っ赤にして、青年が身体をもがかせる。けれどその抵抗が本気でないことはすぐに判った。  主人がからかうように、あやすように火照った頬にキスを繰り返すうちに、青年の身体は自分を抱く大きな身体に無意識のようにすり寄り、ほっそりとした両腕は、おずおずと引き締まった男の腰に回されようとしている。  そのことに気付いた主人は小さく笑うと、いきなり唇が触れるほどに青年の顎を引き上げ囁いた。 「じゃ、洗ってくれ」 「えっ」 「ここじゃ何もしない。だからその代りに、お前が俺のカラダを洗ってくれ」  青年は視線をうろうろさせ、少しの間落ち着かない様子だったが、やがて小さくコクリと頷いた。
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