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 「み、見るなって! すぐ出るから、お前はあとで入ればいいだろ!」  主人は青年の動揺など無視してずんずんと近寄ると、彼の左手首を掴んで無理やりのように立たせ、青年が言葉を発する間もなく唇を奪った。 (ええーーーっ!?)  私は動揺のあまり一瞬湯を引っ込めかけたが、すぐに気を取り直して、まさに眼下で湯に打たれながら、唇を合わせ、舌を絡ませ合う二人の男たちを呆然と見下ろしていた。 「んんッ……ふ、ぅう……ゃ………っ」  強引に唇を貪られている青年が弱々しく主人の腕のなかでもがく。  体格差は歴然としているのに、主人は一切の容赦をしない。  ほとんど爪先立ちの状態で暴君の狼藉に耐える青年の姿は痛々しくも、ひどく艶めかしく、目が釘付けになってしまう。  くちゅ、くちゅ、ぴちゃっ、ぴちゃっという、いやらしい音がシャワーの音に紛れて私の鼓膜を打つ。 「んんッ、んんんーーーッッ!!」  ようやく激しい口づけから解放された途端、青年はぐったりと主人の腕に抱き込まれていた。
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