終章 約一年と九ヶ月越しのハッピーウエディング

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 森羅さんの声が上ずり、視線がキョロキョロと左右にさ迷う。  どうも彼女は、動揺するとそれなりの態度をとってしまうらしい。  ブラックパピヨンのオーナー兼ナンバーワンとして辣腕をふるう時は、そんなそぶりまったく見せないのに。  俺にだけ見せてくれる素の姿が、胸を締め付けるほどに愛しい。 「いいよ。俺も、したい」  俺の返事を聞いた森羅さんはうちわを手にしたまま、寝転がる俺にぎゅうと抱き付いてきた。 「嬉しい! 私、がんばるわ!」 「……こちらこそ、よろしくお願いします」  それ以外に、なんと言えばよかったのだろうか。  のぼせていた俺の身体からようやく赤みが消えたころ、今度は森羅さんが身体を洗いに行った。  一人残された俺はベッドの上で、ゴロゴロと転がる。  胸に、YES枕を抱きしめまま。 (あああああああああああああああああああああああああああああ)  声には出さず、絶叫する。  森羅さんは動揺したら声と目に出るが、俺は全身に出てしまう。  一人になるまで我慢できるのが、不幸中の幸いだが……  俺は森羅さんが上がってくるまで、どんな態度と気持ちで待てばいいのだろうか。どういう風に迎えるべきだろうか。  余裕がある感じで? 身につけているものは、ぜんぶ脱いで?     
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