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森羅さんの声が上ずり、視線がキョロキョロと左右にさ迷う。
どうも彼女は、動揺するとそれなりの態度をとってしまうらしい。
ブラックパピヨンのオーナー兼ナンバーワンとして辣腕をふるう時は、そんなそぶりまったく見せないのに。
俺にだけ見せてくれる素の姿が、胸を締め付けるほどに愛しい。
「いいよ。俺も、したい」
俺の返事を聞いた森羅さんはうちわを手にしたまま、寝転がる俺にぎゅうと抱き付いてきた。
「嬉しい! 私、がんばるわ!」
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
それ以外に、なんと言えばよかったのだろうか。
のぼせていた俺の身体からようやく赤みが消えたころ、今度は森羅さんが身体を洗いに行った。
一人残された俺はベッドの上で、ゴロゴロと転がる。
胸に、YES枕を抱きしめまま。
(あああああああああああああああああああああああああああああ)
声には出さず、絶叫する。
森羅さんは動揺したら声と目に出るが、俺は全身に出てしまう。
一人になるまで我慢できるのが、不幸中の幸いだが……
俺は森羅さんが上がってくるまで、どんな態度と気持ちで待てばいいのだろうか。どういう風に迎えるべきだろうか。
余裕がある感じで? 身につけているものは、ぜんぶ脱いで?
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