終章 約一年と九ヶ月越しのハッピーウエディング

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「あ、すでに裸みたいなものか」  腰にタオルを巻いているだけなので、全裸と大してかわりはない。  湯あたりしていたとはいえ、色気もへったくれもない格好である。  そもそも、森羅さんと俺の場合はどっちがどちらになるのだろう。  一般的にΩは受け入れる側で、αは与える側だ。  だがしかし、Ωといっても俺だ。このデカい図体を、あの人が本当に抱きたいと思っているだろうか。反して森羅さんは、どちらの経験もあると言う。体格を優先して考えれば、俺と森羅さんは攻守を一般的なΩとαにあてはめない方がいいのではないだろうか。  俺が、森羅さんを抱く。  Ωの精液に精子は存在しないが、相手に穿ち、交尾をすること自体は可能だ。一子を設けているので、受精を目的の交尾でもない。  普段から色気が駄々漏れの森羅さんの姿を脳裏に浮かべる。今頃、先ほどの俺と同じように身を清めているのだろう。  ……ありだな。うん。まったく、違和感ない。  うまくやれるかどうかはわからないが、彼女を愛することには、なんの問題も感じない。むしろ、いいじゃないか。自然な、流れじゃないか。  もう一つの想定パターンを考える。     
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