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「かをり」は、ただの植物か?
ある土曜日、「マモル、起きなさい、そして、私をいつもの窓際に置いて」いう白いワンピースを着た女性がマモルに必死に声をかけている姿が頭に浮かんだ。
マモルは夢うつつのなかで、これは幻影なのか、それとも自分はストレスの影響なのか、ついに変なものがあらわれたのかと思い始めた。
すると、白いワンピースを着た女性は、「これは。夢なんかじゃないわ」とはっきりと言った。
目が覚めて、はっきりしてくると、その幻影は消えた。
代わりにあるのはいつものホタルカズラが机の上に置いてあるだけだ。
だが、いつもと違うのは、その植物は声を発し、奇妙なことにそれをマモルが理解しているということだ。
マモルは、その時、前に本で読んだ「植物の不思議」という項目を思い出した。
最近の研究では植物が相互にコミュニケーションをとるそうだ。
害虫などが来た場合は、自己防御することや仲間に警告する植物ホルモンを出して、最小限に危険を回避するというものだった。
つまり、植物にも「こころ」のようなものがあるらしかった。
西オーストラリア大学の研究者は高感度センサーである種の木の根を観察した結果、どうやら、220ヘルツ(ラの音)の音を立てているらしいことが判明した。
木がこれほど様々な方法で話をしているのだとしたら、ホタルカズラが話をしてもおかしくはなかった。
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