本屋さんと闇のコンビニエンスストア

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「花澤葵さんから教えてもらったんだけれど、闇のコンビニエンスストアについて教えていただけないかな」 「だ、誰?」  まずはそう来たかとヒカルは名刺を差し出す。 「探偵事務所サークルラインの円ヒカルです。闇のコンビニエンスストアについて調査中で、その聞き込みです」  ヒカルの名刺を見て佐知の目元がピクリと動く。 「おや、聞かれたくなさそうな顔をしていますね」 「そんなことは……」 「まあ気にせず。同意なんて初めから取るつもりありませんから」  ヒカルがパチンと指を鳴らすと、その音に連鎖して佐知の目から光が消えた。  すでに渡した名刺を凝視させた時点で佐知は催眠に陥っており、指を慣らすことで作動したのだ。  そのまま静かに話せるようにと授業が行われていない空き教室に移動し、ヒカルは佐知を尋問した。 「闇のコンビニエンスストアなんて嘘っぱちなんでしょ?」 「ええそうよ。あの女が気にくわないからちょっと担いだだけ」 「あの女? 花澤葵のことかしら」 「もちろん。いろんな男に声をかけられてチヤホヤされてるのが気にくわなかったのよ。私だってボーイフレンドの一人や二人欲しいってのに」 「嫉妬ねえ……」  催眠状態の佐知が喪女の僻みを爆発させる姿にいたたまれなくなり、ヒカルはタバコを取り出して火はつけずに咥える。     
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