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「ニネットが、ちょっと困ったことを。相談に乗ってもらいたいんだ」
「またか。そういうことなら、なお喜んで」
ルキアノスは、ただ単純にギルに誘われたことを嬉しく思った。
幼い頃から切磋琢磨してきた、可愛い後輩。しかし、年を重ねるごとに自分らは全く違う気質を持っていることに、嫌でも気付かされた。
ギルはどこか、得体のしれない部分を心に持っている。
大人に近づけば、それなりに知ることは多くなる。良いことも、悪いことも。ギルはそれを吸収するたびに、心にため込んでしまったのではないだろうか。
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、すべて自分の内だけで処理するあまり、複雑な精神回路の持ち主になっていってしまったのではないだろうか。
もう、子どものように互いに腹を割って話し合うなど出来なくなってしまった二人。仕方がない。それが大人になる、ということなのだ。
そんなギルが、相談を、と持ちかけてきてくれた。
いいだろう。心配事なら分かち合おうじゃあないか。
久々に、子どもに帰ったような心地でルキアノスはギルの私室へお邪魔した。
ギルが裏で何を考えているか、全く知りもしなかったから。
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