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寝室のやや控え目な照明の明かりが、二人を包んだ。くず折れるように寝台に横たわるルキアノス。
彼を見下ろすと、たまらない優越感が湧き上がってくる。
靴を脱がせ、シャツを脱がせ、さらにボトムまで脱がせようとしたところで、さすがにルキアノスはもがいてきた。
「や……めろ……」
「苦しいだろうから、脱がせてやってるんだ」
嘘ではない、はず。
しかし、素裸になったルキアノスを眺めやり、もうここで引き返せない自分も解かっていた。初めから、こうするつもりで彼を部屋に連れ込んだのだから。
そして自分も一糸まとわぬ姿になると、彼の上へと被さっていった。
ルキアノスの髪を指で遊びながら、ギルは貪るように唇を重ねた。
舌を差し入れ、柔らかな彼の咥内を蹂躙する。
面白いことに、ルキアノスは嫌がるどころかそれに応えて舌を絡ませてくる。
濡れた音を響かせ、ギルを求めてくる。
逞しい腕が首にまわされ、強く抱きよせてくる。その盛り上がった筋肉に、ギルはやんわりと軽く歯を立てた。
「ん、んぁッ」
ルキアノスの上げる声は、痛みからくる苦痛ではなく性欲を感じさせる艶がある。それを確かめた後、歯型の後を丁寧に、執拗に舐めた。
舌を肌に這わせるたびに、震えるルキアノスの体。自分も首筋を吸われながら、ギルは淡々と彼を愛撫した。
何だこれは。
脳が滾りそうだ。
意識が薄い皮膜で包まれ、夢か現か解からない。
ただ、眼の前の白い首にかじりつき肌を擦り付けた。温かな血の通うギルの喉笛をしゃぶり、鼻を鳴らした。
嘘だ。
ギル、俺を起こしてくれ。
これは夢だ。
夢?
夢ならそのまま身を任せてもよいのでは?
あまりにも蠱惑的な、ギルの白い体。手のひらで撫でると、絹のようにきめ細かで吸い付くように馴染んでくる。日に焼けて武骨なこの手には勿体ないほどの、清らかさ。
『媚薬ってぇのはさ、ヤりたいと思ってなきゃ効かねえもんさ。催眠術と同じでな、盛られてもその気がなけりゃあ、無駄ってこと』
以前、ニネットがしたり顔でそんな事を言っていたっけ。
では、俺は。
俺は、こうしたいと思っていたのか?
ギルと。この幼い時から共に励まし合い、競い合い、高め合ってきた盟友と、淫らな行為に耽りたいと?
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