第一章 罠

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「あ。ん、んくッ」  そのギルに、指腹で乳首を押しつぶされルキアノスは仰け反った。  ぞわりと体中に鳥肌が立つ心地。  嫌悪からではない。快感にうち震えているのだ、この体は。 「どうだ、ルキアノス。耐えることはない。声を出してもいいんだぞ?」 「ぅうッ、く。あぁあ」  そうだ、ルキアノス。もっと乱れろ。もっと淫乱な姿を晒してみろ。この私に、私だけに。  くにくにと、ささやかな乳頭をいじりまわした。  指を唾液で濡らし、ゆっくりと円を描く。その動きと感触は嫌でも舌を連想させて、ルキアノスは眼を固く閉じて悶えた。 「どうして欲しい」 「……ッ、早く」 「早く、どうしろと?」 「ギ……ルッ」  まさか名前を呼んでくるとは。  媚薬で朦朧となりながらも、相手が私とは認識しているのか。  わずかに怯んだ指先から逃れ、ルキアノススはギルの胸にむしゃぶりついた。不意を突かれ、ギルは思わず声を上げていた。 「あ! あぁッ!」  こうして欲しいんだよ、ギル。こうやって欲しかったんだよ、俺は。  ルキアノスは、ギルの乳首を大きく舐めあげ、唇に挟んで強く吸った。吸いながら、舌先でちらちらとその頂を掘り起こすように舐め弾く。ギルの呼吸が、しだいに荒く激しく耳に聞こえてくる。 「っは、ん、ぅ。くッ、うぅ……」  ルキアノスの愛撫に応えて、ギルの下肢は硬く張りつめだした。みるみる充血してゆく体の中心。 単純に、胸をいじられているからではない。そうしているのがルキアノスだからという点で、激しく興奮していた。
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