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まさか、考えてもみなかった自分の心の奥底の欲望と、その実現。
昨日までは、まるで意識していなかった、性の対象としてのルキアノス。
「くッ!」
ギルはしがみついてくるルキアノスの頭を力任せにどけると、彼の胸元に滑り込んだ。
してもらったように、愛撫を返す。ぬるぬると舌を這わせ、唇と歯先で甘噛みする。強く吸うと、ルキアノスは驚くほど大きな悲鳴を上げた。
「ぅあぁッ! あ、あぁ!」
枕に頭を乗せ、顔を背けて押し寄せる快楽に必死で耐えているルキアノス。
幼き日々に積んできた、修練の苦痛に耐えるその表情と明らかに違うのはその眼の色だ。瞳を潤ませ頬を染め、うっすらと開いた唇からは甘い喘ぎがついて出る。
口を使いながら、手で彼の性器を掴んだ。硬く反りあがりつつあるそこをゆっくりとしごくと、ルキアノスは歯を食いしばって耐えだした。
「ん、ふッ! んぅうッ、う、うぅ!」
「堪えなくてもいいと言ったろう。もっと力を抜いて。全て、私に任せて」
頭の中に、極彩色が渦巻く。
これは何だ? 蝶か?
蝶が羽ばたいている。数限りなく。海を渡る蝶の群れのように、おびただしい数が浮かんでは消え、消えては浮かぶ。
駄目だ、ギル。いけない。
これは、許されないことなんだ。
そう強く訴えようとしても、口から洩れてくるのは甘くただれたうわ言だ。最後の理性で声を噛み殺そうとしていたが、それももう限界だった。
「あぁあ! ギ、ル……ッ! ギルッ!」
ついに飛んでしまった響きのルキアノスの声を耳に心地よく聴きながら、ギルはこの清い幼馴染の体を這わせて組み敷いた。
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